海外転勤や海外留学で家を長期間留守にする場合、留守宅の電気契約はどうすればよいのか?
皆さんが悩むことです。
私が管理している留守宅においては、多くの場合は電気契約を残したままにしてもらっています。
もちろん、電気使用量が毎月数百円必要です。
費用がかかっても電気契約を残していただくことをお勧めしています。
以下に電気契約を残していただく理由を説明していきます。
設備維持のため
家にある設備には、常に稼働させている方が管理上良い場合があります。
車はほとんど乗らないで置いておくよりも、乗って動かしている方が状態がよい、と言われます。
これと同じです。
それでは家のどのような設備が電気を入れた状態で置いた方がよいのでしょうか。
給湯器
給湯器は通電し稼働している状態にしておく方が良い設備と言えます。
理由は凍結防止のためです。
給湯器には凍結防止用ヒーターがあります。
電気を止めたり、給湯器のブレーカーを下してしまうと凍結防止用のヒーターが停止し、凍結する確率は高くなります。
給湯器が凍結した場合、給湯器内の細かい管に残った水が凍り、膨張します。
プラスチック製部品に膨張による負荷がかかり、割れてしまうことがあるのです。
給湯器の凍結による故障は、修理費用は高くつきます。
通常は、給湯器が凍結した場合の修理費は、3万円以上は必要と思っておいた方がよいでしょう。
また、給湯器の修理には、ある程度の時間が必要です。
故障個所の特定、部品の手配、修理施工と、対応に時間がかかります。
久しぶりに留守にしていた家に帰ってきてガスを開栓しても、給湯器修理が間に合わず、お湯が出ないからお風呂にも入れないなんてことになります。
どうしても電気を止めたいのであれば、給湯器内の水は完全に抜いておかなくてはなりません。(給湯器の水抜き)
最近の給湯器は高機能で、水抜き栓も複数ある場合も多いので、お近くのガスショップなど専門業者に相談するか、給湯器の説明書をよく確認して作業しましょう。
特に電気温水器や燃料電池などは説明書をよく読んで対応するか、ガス業者にお願いする方が良いでしょう。
浄化槽
浄化槽を使用している家では、安易に電気契約を止めてはいけません。
浄化槽は、槽内のバクテリアにより汚水を浄化して排水する設備です。
バクテリアが生きていくためには酸素が必要であり、ブロアーという装置で浄化槽内に酸素を供給しなければなりません。
電気を止めてしまうとブロアーが停止してしまいます。
酸素が無いと浄化槽内のバクテリアが死滅し、浄化槽の機能が失われることになります。
復旧には費用が必要になります。
ただし、浄化槽を稼働させるということは、法的に義務付けられた点検・報告も継続しなければならず、その費用も必要ということを考慮しておく必要があります。
ホームセキュリティー
ホームセキュリティーを導入している場合、電気を止めるということは、ホームセキュリティーの機械警備が停止するということになります。
ホームセキュリティーの契約を解約するなどの対応が必要です。
留守宅や空き家だからこそ、空巣、不審な侵入者、放火などの対策としてホームセキュリティーが有効です。
ホームセキュリティーの契約は継続し、留守中も機械警備を稼働させておくべきです。
電気を止めるのであればその準備をする
電気を長期間使用せず、止めてしまうのであれば準備をしなくてはなりません。
安易に止めてしまっては、上記のような問題が起こります。
設備の専門業者に長期間使用しないこと、戻ってきても使用できるように維持したいということを相談すべきです。
海外転勤など3年以内に帰ってこれるようであれば、できるだけ家の機能を維持しておく方が良いでしょう。
費用の問題があるのであれば、家を人に貸すという選択もあります。
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